クローン人間


私にはどうしてもよくわからないんですが、 なぜ子供を作ることは許されるのに、 クローン人間を作るのは許されないのでしょうか?

クローン人間はもとの親とまったく同一の遺伝子を持つわけですから、 複製された人間に新たな遺伝的疾患が生じることはありません。 つまり、健康な親からは必ず健康なクローン体が作られるわけです。

一方子供というのは、 2体のヒトの染色体を半分ずつ混ぜ合わせて別の生物を作るという、 大がかりな遺伝子組み換え実験の結果なわけです。 しかも各遺伝子がどちらの親に由来するかはランダムに決まるという、 極めて大ざっぱで無責任な実験です。 両親共に健康であっても、 遺伝子の組み合わせ方によっては 生まれた子供が先天的な障害を持つことも大いにありえます。 クローニングに比べてリスクが大きすぎると思いませんか?

遺伝的なリスクに加えて、 自分の子供という概念には生理的嫌悪感がつきまといます。 皆さんは「ザ・フライ」という映画を御存知でしょうか? (脳が腐るので私は原則としてアメリカ映画は見ないのですが、 これはたまたま見てしまったのです。 案の定、脳が腐りました。) あの映画の中では、主人公の体の中にハエの遺伝子が入り込んで徐々に発現し、 普通の人間がだんだんとハエ人間へと変化していく様子が グロテスクに描かれていました。 子供もハエ人間と同じようなものです。 自分の遺伝子と他人の遺伝子が混じり合い、 徐々に発現して両者の中間的な性質を持った奇妙な合の子が生じるのです。 気持ち悪くありませんか?

更に、生まれた後の問題もあります。 クローンなら自分がもう一人いるようなものですから、 一人の独立した人間として人格を尊重することができます。 自分の意志を大事にするのと同じように、 自分のクローンの意志も大事にすることができるでしょう。 しかし、通常の子供の場合はそうはいきません。 親は往々にして子供を自分の所有物と考える傾向にあるからです。 服装にしろ髪形にしろ習い事にしろ、 子供の意志を無視して親の趣味を押しつけます。 子供が嫌がると怒ります。 ひどい場合になると「この子は将来××にするつもりだ」などと言い出し、 実際そのように有形無形の圧力を掛けたりします。 こうなったら最後、 子供は衣食住の確保のために将来を売り渡さなくてはなりません。 最近は児童虐待がよく話題になりますが、 肉体的苦痛を与えなければいいというものではありません。 他人の趣味で自分の将来が決められるなど、 到底耐えられるものではありません。 甚だしい人権侵害です。

したがって私は以下のことを提案します。

今後は全人類に避妊手術を施し、新生児はすべてクローンで生産する

こうすれば児童虐待の大部分は解決したも同じです。

また、もしどうしてもクローンが認められないというのなら、

今後は一切の出生を認めず、人類はこの代で終わりとする

というのはどうでしょうか。 もし後者の案が採用されれば、 地球温暖化も石油危機もオゾンホールも環境ホルモンも、 もう何も心配する必要はなくなります。 どうせどれもあと数十年は何とかなるような問題ですから。 さあ、今まで通り、 いや今まで以上に思いっ切り贅沢して資源を喰い潰し、 地球を骨までしゃぶり尽くして滅亡しようではありませんか。


最終更新日 : 2006年6月19日